2013年01月29日
一月の芸妓衣装(小ふく)
寒さが一段と見にしみるころとなりました。
小ふくさんの一月の芸妓衣装はすっきりとした印象の装いどす。
波文に藤や梅などが描かれた二つ綿の着物、竹が立涌文として縫い取られた織帯が落ち着いた芸妓さんの上品さをかもしだしています。
カツラには今年の干支である巳さんの干支差しをさせてもうてます。
波文と流水文の区別ははっきりとするものではおへんのどすが、ともに古くから意匠化され親しまれてきました。
線描でシンプルに表す事もあれば面や立体的に描く場合もあり、自然の波のように多様に表現されます。
真っすぐに伸び冬でも青々とした竹は高潔な植物とされ人々に愛好されてきた文様どすが、その竹を立涌文に見立てたおもしろい意匠の帯どす。
立涌文は水蒸気が沸き立つ様を表して運気が盛んで上昇するという意味をもつとされ、代表的な有職文のひとつとされます。
金糸で織り込まれた竹が立涌文となっていることで、豪華でおめでたいこの時期にぴったりの帯どすね。
朝夕は冷え込みは厳しいものとなっておりますのでいっそうのご自愛をお祈りいたします。
2012年12月18日
襟替え(小ふく)
平成二十四年十一月二十九日、三十日、十二月一日に襟替えが行われ、小ふくさんが芸妓さんになりました。
黒紋付を着た小ふくさんは二十九日お昼、芸妓さんになる儀式をすませお茶屋さんにごあいさつにまわらせてもらいました。
舞妓さんになったときはお姉さんに連れてもらうごあいさつまわりですが、芸妓さんになると一人でまわります。
芸妓さんになると頭がカツラになり、帯も舞妓さんのダラリの帯からお太鼓の形に変わりました。
小ふくさんはこれからも芸の道を精進してまいりますので、みなさま小ふくさんをどうぞよろしくおたのもうします。
2012年11月22日
「先笄(さっこう)」の髷を結いました(小ふく)
小ふくさんは十一月二十九日の襟替え(芸妓さんになること)に向けて今月十二日〜十四日の期間結わせてもうた「奴(やっこ)」の髷に続き、十五日〜二十七日の期間「先笄(さっこう)」という髷を結わせてもうてます。
「先笄」は舞妓さんが襟替え前のわずかな期間だけ結う特別な髷どす。
着物も黒紋付きになり、歯にはお歯黒を付け、これが舞妓さんとしての最後の格好となります。
「先笄」の期間、お座敷では「黒髪」という舞を舞わせてもうてます。
「黒髪」とは舞妓さんが芸妓さんへと襟替えする前の期間だけ舞うことの許される舞で、先笄を結っている舞妓さんしか舞うことができません。
十五歳で舞妓さんに憧れて新潟から出て来た小ふくさんがもう襟替えの時期を迎えることとなりました。
時の流れははやく、感慨深おすね。
みなさまどうぞこれからも小ふくさんを応援していただけますようよろしくおたのもうします。
2012年11月12日
「奴(やっこ)」の髷を結いました
日が落ちるのが早くなり、冬が駆け足で近づいてくるようです。
小ふくさんは十一月二十九日の襟替え(芸妓さんになること)に向けて、今月十二日~十四日の期間、「奴(やっこ)」という髷を結わせてもうてます。
金と銀であつらえられた松のかんざしに深い紫に桐文と鳳凰が描かれたおめでたい文様の着物、金糸で織り込まれた豪華な帯と衣装もすべてかわりました。
「奴」は正式な髷なので、三本の襟あし・鼈甲(べっこう)のかんざしも挿しています。
小ふくさんは三日間「奴(やっこ)」の髷で過ごした後、舞妓さんの最後の格好となります「先笄(さっこう)」を結わせてもらいます。
寒くなってまいりましたが皆様ご自愛のほどお祈り申し上げます。
2012年11月06日
十一月の舞妓衣装(小ふく)
秋気身にしみるころとなりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
小ふくさんの十一月の舞妓衣装は柔らかい淡いブルーと艶やかな黒い帯との対比が印象的な爽やかな装いどす。
いちょうに松葉があしらわれたかんざしに雪輪に様々な花が描かれた一つ綿の着物、雲間に蝶があでやかに舞い翔ぶ織帯が大人へと向かう舞妓さんの上品な美しさをかもしだしています。
いちょうは中国原産の秋に黄葉する樹木どす。
葉は扇型で切れ込みがあり、アヒルの足に似ていることから中国の明代に鴨脚と表記されました。
鴨脚は「ヤ(イ)ーチャオ」と発音され、それが転じて「いちょう」と呼ばれるようになったそうどす。
宮川町のすぐそばを流れる鴨川の遊歩道にも黄色く色づいたいちょうの木がよく見られますね。
雪輪文は植物に雪がかかった雪持ち文から端垂れ雪文様が発生し、それが成形されて出来たといわれます。
雪輪文が登場したのは江戸時代初期で円の周囲に小円の切れ込みを入れて表し、次第に様式化されていきました。
その美しい形を雪輪取りとして中に草花が描かれることもよくあり、様々に意匠化されて好まれている文様どす。
蝶文は平安中期から愛用されてきた文様で有職文様としても古くからよく用いられてきました。
その優美な姿から揚羽蝶が好まれることが多く、卵から幼虫、サナギ、そして成虫へと変化する姿が呪術的神秘性を感じさせ、人気が高おす。
黒地に金糸で豪華に刺繍された帯が小ふくさんの大人っぽい雰囲気によう似合うたはりますね。
ここでみなさまにお知らせいたします。
このたび小ふくさんは十一月二十九、三十、十二月一日の三日間に「襟替え」をさせてもらうことになりました。
「襟替え」とは舞妓さんが芸妓さんになることをいいます。
このブログを始めさせてもうた2009年、小ふくさんはまだ出たて(舞妓さんになって一年目)の舞妓さんでした。
その小ふくさんがもう芸妓さんにならはります。
月日が経つのは早いものどすね。
夜寒の折、みなさまのご健康を心よりお祈り申し上げます。
2012年10月16日
十月の舞妓衣装(小ふく)
めっきり秋めいてまいりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
小ふくさんの十月の舞妓衣装は深まりゆく秋を感じさせる落ち着いた印象の装いどす。
大振りの菊のかんざしに御所車文の袷の着物、花菱亀甲に向い鶴の染帯が上品な女性らしさをひきだしています。
菊は平安時代より薬草や観賞用として用いられ、古今集にもよく詠まれている秋を代表する花どす。
鎌倉時代の初め、後鳥羽上皇が菊の花の意匠を好み「菊紋」を天皇家の家紋としたことから、日本を象徴する花として用いられるようになりました。
御所車文は平安時代に貴族たちが外出時に用いた牛車を文様化したもので、雅な王朝文化への憧れを表現したものとして人々に好まれてきました。
通常牛や人は一緒に描かれず、草花や王朝趣味の器物を並べて表されることが多おす。
花菱亀甲は六角形の亀の甲羅のような形に四弁の唐花を入れた文様で、長寿の象徴として愛好されてきました。
鶴文も長寿瑞祥のシンボルとされその優美な姿から人気が高おす。
鶴は千年、亀は万年という言葉があるように鶴と亀は共に描かれることが多く、吉祥文として婚礼衣装やふとんなどにも使われるおめでたい文様どす。
味覚の秋、行楽の秋ですね、お楽しみくださいませ。
2012年09月15日
九月の舞妓衣装(小ふく)
九月に入っても厳しい暑さが続いておりますね。
小ふくさんの九月の舞妓衣装は艶やかな紫が印象的な上品な装いどす。
大振りの桔梗のかんざしに無双の着物、献上柄の呂の染帯がしっとりとした秋の風情を感じさせます。
桔梗は秋の七草の一つで均整のとれた五角形の花が美しく、昔から文様や家紋によく用いられてきました。
万葉集に出てくる「朝顔の花」は現在の朝顔を指すのではなく、桔梗のことを表したものであると言われています。
無双の着物は色、柄の違う二枚の薄手の紗を重ねて仕立てられた贅沢な着物どす。
下の生地には桔梗文が描かれており、紫の無地の紗にすけて涼しげに揺れているようどすね。
献上柄は煩悩を打ち砕くとされる「独古(どっこ)」という仏具と、仏を供養する際に用いられる「華皿」という器を図案化したものどす。
江戸時代、福岡藩黒田氏から徳川将軍家に献上されたことからその名がつきました。
昼の日射しは強くても朝夕はめっきり涼しくなって参りました、風邪など召されませんようご自愛くださいませ。
2012年08月10日
八月の舞妓衣装(小ふく)
オリンピックの熱戦につい見いってしまい、寝不足が続く毎日ですがみなさまお元気でお過ごしでしょうか。
小ふくさんの八月の舞妓衣装は鮮やかな紫に大きな百合が大胆に咲き誇る艶めいた装いどす。
大きな一輪の朝顔のかんざしに華やかな百合があしらわれた呂の着物、松竹梅の夏の織帯が少女から大人の女性へと変化を遂げていく舞妓さんのそこはかとない色気をかもしだしています。
朝顔は早朝に赤、白、桃、紫など色とりどりの花を咲かす真夏の花どす。
奈良から平安時代にかけて中国より薬草として伝来し、今のように観賞用として栽培されるようになったのは江戸時代になってからだそうどす。
小学生の夏休みの観察教材として使われることも多く、育てたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
百合は古事記に記されているほど古くから日本人になじみ深い花どすが、何故かあまり文様としては使われてきませんでした。
洋花が流行した明治末以降になってやっと見られるようになりましたが、意匠化はされずに写実的に描かれることが多いのが特徴どす。
大きく華やかな百合が西洋的に感じられ、新しい時代に向かう女性に好まれたのかもしれませんね。
松、竹、梅それぞれの文様は平安時代から見られますが、この三つの文様を組み合わせるようになったのは室町時代になってからだそうどす。
慶事の場などでよく使われる代表的な吉祥文で、衣装だけでなく陶磁器や家具など様々に意匠化されています。
伸びやかに生える竹に若松文と変わり梅文が散らされた豪華な帯が小ふくさんの凜とした姿によく合うたはりますね。
暑さ厳しくしのぎがたい毎日が続いておりますがみなさまどうぞお体ご自愛くださいませ。
2012年07月19日
七月の舞妓衣装(小ふく)
祇園祭の巡行も無事にすみ、いよいよ本格的な夏の訪れを感じさせる今日この頃、みなさまお元気でお過ごしでしょうか?
小ふくさんの七月の舞妓衣裳はすっきりとした中に若々しさがのぞく生き生きとした装いどす。
勝山の髷に松皮菱の中に様々な花を入れた呂の着物、立涌に三つ蝶文が配された夏の織帯が、優美でありながらはつらつとした印象をかもしだしています。
勝山の髷は祇園祭の10日の御輿洗いから24日のあと祭りの期間だけ結うことのできる特別な髷どす。
かんざしも銀で作られた豪華な物をつけます。
勝山は誰でも結うことができる訳ではなく、「おふく」と呼ばれる舞妓さんになって2、3年目以上のお姉さんの舞妓さんだけが結うことのできる髪型どす。
松皮菱は菱の変形の一つで菱形の上下に小さい菱をつけた子持ちの意匠どす。
松の幹の皮をはがした形に似ていることからその名前がつきました。
百合や蘭など現代風な花たちに松皮菱を模様取りとして用いることで古典的な趣が感じられますね。
立涌は代表的な有職文様で、空地に様々な文様をはめ込んだり、曲線自体を装飾化したりと多種多様に表されます。
金糸で縫いとられた立涌の中に色鮮やかな三つ蝶文が描かれた上品な帯になっていますね。
小ふくさんは7月24日に行われます祇園祭の花傘巡行に出させて頂くことになりました。
巡行は午前10時に八坂神社を出発し、四条の御旅所をまわって12時頃に八坂神社に戻ってくる予定どす。
その後、八坂神社にて奉納舞を宮川町の舞妓さん10名で舞わせて頂きます。
お時間ございます方ははぜひ見に来てあげておくれやす。
寝苦しい日が続いておりますが、みなさまお体ご自愛くださいませ。
2012年06月15日
六月の舞妓衣装(小ふく)
京の空にも梅雨がやってまいりました。
小ふくさんの六月の舞妓衣装は優しげな印象の少し大人っぽい装いどす。
アジサイのかんざしに無双(むそう)の着物、花菱文様の帯が華やかさの中にお姉さんの舞妓さんらしい落ち着きを感じさせます。
今月は衣替えどすので小物類もすべて夏物に変わりました。
アジサイは万葉集からその名がみられる日本原産の花どす。
江戸時代にオランダ商館の医師として長崎に滞在したシーボルトはこの花に魅せられ、日本での妻だった『お滝さん』にちなんで『ハイドランジァ・オタクサ』と名付けてヨーロッパに紹介しました。
そのため今でも長崎ではアジサイのことをオタクサと呼ぶそうどす。
無双(むそう)の着物は色、柄の違う二枚の薄手の紗(しゃ)を重ねて仕立てられた贅沢な着物どす。
下の生地は白地に模様が入っており、上の生地は濃い目の無地の紗(しゃ)が合わせられて下の柄が透けて見えるように工夫されています。
小ふくさんが着ている薄桃色の紗(しゃ)の下から見えているのは、流水に籠と葦が配された意匠で、梅雨空を忘れさせてくれるような涼やかさを演出しています。
美しい透け感が見る人を楽しませてくれる無双のお着物どすが、二枚重ねなこともあり、着ると実はけっこう暑おす。
花菱文は菱形の中に四弁の唐花を入れた文様で「唐花菱文」の略称どす。
文様としては古くからあり、正倉院の宝物にすでにその姿が多く見られます。
うっとうしい毎日ですが皆さまどうかくれぐれもご自愛ください。
2012年05月17日
五月の舞妓衣装(小ふく)
若葉がかおる頃となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
小ふくさんの五月の舞妓衣裳は艶やかな紫と目に鮮やかな鶸(ひわ)色との対比が印象的な大人っぽい装いどす。
すっきりしたアヤメのかんざしに、扇骨に葵や桔梗などさまざまな草花がまとめられた花扇の着物、朱色で描かれた蝶々があでやかに舞い飛ぶ染帯が、若さの中に凛とした女性らしさを引き出しています。
アヤメはこの時期に紫や白い花を咲かせる初夏を代表する花どす。
「いずれあやめかかきつばた」というのは優劣がつけられないほど美しい様子を表した言葉ですが、それほどアヤメ科の植物は見分けがつきにくく、乾いた場所を好むのがアヤメ、水辺の湿地に育つのがかきつばたと言われます。
開いた扇の形は発展や繁栄の吉兆を表す図形として人びとに好まれているものどす。
今回のお着物には地紙ではなく草花を直接描くことにより、落ち着いた色合いの中に舞妓さんらしい華やかさが演出されています。
小ふくさんは舞妓さんとなって四年目。
紫地のお姉さんらしいお着物がよう似おうたはりますね。
梅雨のはしりのように気まぐれな空の下、皆様十分お体にお気をつけください。
2012年04月23日
四月の舞技衣装(小ふく)
いつの間にか葉桜の季節となりました。
皆様お元気でおすごしでしょうか。
小ふくさんの四月の舞妓衣装は少し大人っぽいさわやかな装いどす。
葵や花の描かれた扇面ぼかしの文の着物・遠山文の描かれた塩瀬の染帯・蝶のかんざしが季節感を醸し出しています。
遠山文は中国から伝わった山水画の影響を受け、日本本来の山水の景色を反映するようになったものどす。
たなびく霞の向こうに覗くなだらかな山々は、いかにも大和絵という風情で日本らしゅうおすね。
蝶は、幼虫・さなぎ・成虫へと次々と姿を変化させる姿から、化身・復活・不老不死などを表すおめでたい吉祥の象徴とされてきました。
季節の変わり目ですので、皆様風邪などお召しになられませんよう御自愛下さい。
2012年03月15日
三月の舞妓衣装(小ふく)
春まだ浅い今日このごろですが、皆様お元気お過ごしでしょうか。
小ふくさんの三月の舞妓衣装は、深いオレンジ色が印象的な明るめの装いどす。
花丸文の着物、卍繋ぎ文の帯、大降りの水仙の花かんざしが清清しい雰囲気を醸し出しています。
花丸文はいろいろな種類の草花を丸く配した丸文の一種どす。
能衣装から現代の着物まで、昔から良く用いられてきた古典的趣を感じさせる文様どす。
卍繋ぎ文は梵語の「卍」を崩して連続文様にしたもので「卍崩し」「雷文繋ぎ」「菱万字」などとも呼ばれています。
江戸時代に中国から輸入された紗綾織の地文様として使われたので「紗綾形(さやがた)」ともいい、関西では「綸子形」ともいいます。
水仙は皆様よくご存知の植物どすが、この卍繋ぎ文との取り合わせで装いがとても引き締まって見えますね。
四月には「京おどり」がはじまります。
「京おどり」のチケットはしげ森でも扱っています。
小ふくさんはじめ、しげ森の芸妓・舞妓も出演させてもうてますので、皆様どうぞ見にきて下さいますようよろしくおたの申します。
※「京おどり」のチケットについて詳しくはこちら
2012年02月09日
二月の舞妓衣装(小ふく)
立春とは名のみの寒さですが、皆様お元気でしょうか。
小ふくさんの二月の舞妓衣装は若々しく上品な印象の装いどす。
薄緑色の着物、若松に観世水文の帯、「おしゅん」の髷が、颯爽とした雰囲気を醸し出しています。
今月の衣装の一番の特徴は「節分おばけ」の期間に結わせてもうた「おしゅん」の変わり髷どす。
いつもの「おふく」の髷との違いは分かりますか。
「おしゅん」は「お俊伝兵衛心中説」に登場する先斗町近衛屋のお俊の髪型に由来しています。
京風鴛鴦の髷の前部が割れ、中の鹿の子が見えている形どす。
後ろ姿がとても華やかどすね。
若松文と観世水文どすが、若松文は松文の一種どす。
松は常に青々と葉をたたえ、有名な吉祥文として知られています。
また観世水文は能楽観世宗家の定式文様とした水紋どすが、今でも十分にモダンに感じるデザインどすね。
まだまだ厳しい寒さが続いていますが、皆様お風邪など召さぬようご自愛下さい。
2012年01月26日
一月の舞妓衣装(小ふく)
大寒の候、皆様お元気でしょうか。
小さんの一月の舞妓衣装はみずみずしくかわいらしい印象の装いどす。
苧環(おだまき)文様を散らした着物、松に扇子の変わり文の帯、、松竹梅の花かんざしが、清楚な女性らしさを引き出しています。
苧環は糸巻のことどすが、戦前までは女性にとってとても身近なものどした。
苧環を見るとどことなく母性を感じ、懐かしい気持ちになられる方も多いのではないでしょうか。
松は常に青々と葉をたたえ、扇子は「末広」ともいわれるどちらも代表的な吉祥文どす。
直線と曲線の組み合わせはシンプルで美しおすね。
来月2日~4日には「節分おばけ」があります。
今年もスタッフ一同、趣向を凝らしてお待ちしています。
厳しい寒さが続いていますが、皆様お風邪など召さぬようご自愛下さい。
2012年01月09日
新春の舞妓衣装(小ふく)
皆様お元気で新年をお迎えのことと存じます。
小ふくさんの新春の芸妓衣装は、黒紋付の着物・奴の髷・稲穂に鳩のかんざし・襟足は三本の正装どす。
稲穂に鳩のかんざしは、芸妓さんは向かって右側に、舞妓さんは向かって左側に挿すのが習わしどす。
宮川町では新春(1月5日~1月7日)の期間、芸舞妓さんはこのように黒紋付の正装で過ごすことになっています。
この期間はこの正装で、お世話になっているお茶屋さんやお店、お師匠さんのところなどに「おめでとうさんどす」などとご挨拶にまわらせてもらいます。
1月7日に宮川町歌舞練場で芸舞妓さんが一同に介して行われる「始業式」にもこの正装で出席します。
新春にあたり、小ふくさんは「皆様に喜んでいただけるよう、唄や三味線をもっと精進してゆきとおす」と言っていますので、皆様今年も相変わりませず小ふくさんをどうぞよろしくおたの申します。
2011年12月18日
十二月の舞妓衣装(小ふく)
今年もいよいよ残りわずかとなりましたが皆様お元気でしょうか。
小ふくさんの十二月の舞妓衣装は黒を基調とした落ち着きのある装いどす。
様々松・楓・笹などおめでたく華やかな文様を散らした着物、金糸をふんだんに使った立湧文に花文の帯、まねきに餅花の花かんざしが、上品さを醸し出しています。
今月の装いの一番の特徴は何と言っても「まねきの花かんざし」どす。
「まねき」は歌舞伎役者さんなどの名を記す木の看板のことどす。
今月の花かんざしにはこれを小さく写したものにおめでたい「餅花」の飾りが付いています。
小ふくさんのかんざしのまねきには五代目中村時蔵さんと十代目坂東三津五郎さんの名前が入っています。
京都南座の顔見世公演の際にお二人の楽屋をお尋ねし「まねき」に名前を入れてもらいました。
このように贔屓の役者さんにかんざしに名前を入れてもらうのは昔からの習わしどす。
小ふくさんも敬愛するお二人に名前を入れてもうてとても喜んでいます。
皆様どうぞおすこやかに新年をお迎えになられますようお祈り申し上げます。
2011年11月19日
十一月の舞妓衣装(小ふく)
朝夕寒くなってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
小ふくさんの十一月の舞妓衣装は、グリーンが印象的な上品な装いどす。
松に菊楓花筏文の着物、大降りの菊唐草の帯、イチョウの花かんざしが、さわやかな季節感を醸し出しています。
松に菊楓花筏文はその名のとおり水辺の筏に菊や楓そして松などが散らされた文様のことどす。
筏は水の国でもある日本では川の移動手段に使われることも多く日常の風景どした。
その筏に季節の植物を合わせるとは日本人の風雅な美意識を感じますね。
菊唐草文は唐草に菊をあしらったものどす。
菊は江戸時代には鉢での栽培がとても盛んで大小さまざまな種類が生まれ、絵画・版画・工芸品などにも多く描かれ隆盛を極めました。
菊はこの季節を代表する花なので目にする機会も多おすね。
イチョウは皆さんよくご存知の長寿で縁起のいい植物どす。
幹周10Mを越える巨木も日本各地にあるそうどす。
黄金色に色づく秋の銀杏並木はとても見事どすね。
寒さに向かう季節となりましたが、皆様お風邪など召されませぬようご自愛下さい。
2011年10月26日
十月の舞妓衣装(小ふく)
さわやかな秋となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
小ふくさんの十月の舞妓衣装は、秋空のようにさわやかな印象の装いどす。
蝶文の着物、折鶴文の帯、菊の花かんざしがシャープで上品な雰囲気を醸し出しています。
蝶文は、幼虫・さなぎ・成虫へと次々と姿を変化させる蝶の姿から、化身・復活・不老不死などを表すおめでたい吉祥文様とされよく用いられてきました。
象徴的に描かれた色とりどりの蝶の文様はとても華やかどすね。
折鶴文は古くから用いられてきた文様どす。
昔では貴重だった紙を用いて丁寧に折りあげられる折鶴はまさに祈りの象徴どした。
その直線的で隙のない造形美は、曲線的な蝶文との対比においてもとても美しおすね。
菊は昔から日本の秋を代表する植物どす。
江戸時代には鉢での栽培がとても盛んで大小さまざまな種類が生まれ、絵画・版画・工芸品などにも多く描かれ、菊文も隆盛を極めました。
けなげな小菊の花かんざしは、小ふくさんによく似合ってますね。
寒くなってまいりましたが皆様ご自愛のほどお祈り申し上げます。
2011年09月13日
九月の舞妓衣装(小ふく)
初秋の候、皆様いかがお過ごしでしょうか。
小ふくさんの九月の舞妓衣装は、着物と帯の色の対比が鮮やかな装いどす。
葦に流水・蛇籠が描かれた文様の着物、柳に傘文様の帯、桔梗の花かんざしが秋へと向かう季節の風情を醸し出しています。
葦はヨシとも呼ばれる水辺を代表する植物どす。
葦は家の屋根の材料になっていただけではなく、芽は食用、茎は紙、根は薬として使われるなど、昔から日本人の生活に深く関わってきました。
蛇籠は竹で編んだ籠に石を入れて川の護岸に使うもののことどす。
このように流水や葦などの草花を加えて水辺の文様として江戸時代にはとてもよく使われました。
柳に傘は六月の花かんざしにも使われる雨を連想させる組み合わせどす。
傘に鮮やかに描かれた撫子や朝顔などの秋草は、秋雨など秋の訪れを感じさせますね。
桔梗も朝顔や撫子と並んでよく知られている秋草どす。
つぼみが紙風船のように膨らみパッと裂けて青紫色の星型の花を咲かせる様はなんとも印象的どすね。
この度、しげ森三人の舞妓(ふく紘・ふく帆・小ふく)は、10月6日(木)~9日(日)の期間開催される「みずゑ会」に出させてもらいます。
小ふくさんもお稽古を一生懸命がんばってますので、多くの方に来ていただけますよう皆様どうぞよろしくおたの申します。
「みずゑ会」のプログラムなど詳しくはこちらをご覧下さい。