2012年10月17日
十月の芸妓衣装(ふく紘)
雲ひとつなく晴れ上がってももう炎天はなく、何をするにも絶好の季節となりました。
ふく紘さんの十月の芸妓衣装は秋の風情を感じさせるしっとりとした装いどす。
扇面に様々な花が描かれた袷の着物に菊の花に竹が組合わさった染帯が女性らしさの中に風格を漂わせています。
今月は衣替えどすので小物類もすべて冬物に変わりました。
扇はその形から末広と呼ばれ、繁栄や開運を表すものとして人々に好まれてきました。
また「あふぐ」はあおり立てて囃すことで神霊の力を呼び起こして奮い起たせる呪具とされたことから、神を奉賛して舞う神楽や能楽、田楽などの芸能にかかせないものどした。
形や種類も豊富なことからバリエーションにとんだ意匠がみられます。
菊花の文様は吉祥文とされ、枝についた花を折枝菊と呼びます。
昔から日本人に好まれた花どすが今のように菊が暗い印象をもつようになったのは最近のことで、昭和三十年代にヨーロッパの影響を受けて黄と白の菊が葬送の花とされたことからだそうどす。
竹は真っ直ぐに伸び冬でも青々としていることから高潔な植物として吉祥文の一つとされました。
中国では梅、菊、蘭とともに「四君子」とされ、日本でもおめでたい文様として多く用いられています。
写実的に描かれた菊花に竹が十字に配されていて大胆で粋な帯になっていますね。
日毎に秋冷の加わるころ、お風邪など召されぬようにお気をつけくださいませ。