2013年11月27日
十一月の舞妓衣装(小よし)
朝夕の冷え込みが一層厳しくなってまいりました。
小よしさんの十一月の舞妓衣装は冬を迎えるこの時期にぴったりのはんなりとした装いどす。
もみじのかんざしに雪輪文があしらわれた一つ綿の着物、菊唐草文の織帯がおぼこい舞妓さんの可憐さをひきたてています。
もみじは楓の葉が紅葉したもので、春の桜と並んで秋を代表する樹木として古くから愛好されてきました。
京都でも今紅葉が見頃を迎え、たくさんの人が京都を訪れたはります。
雪輪文は雪の文様の1つで、雪の結晶に見られる美しい六角形の輪郭を円形に描いた文様どす。
雪輪の中に他の文様を描いたりもし、振袖・留袖・小紋・帯など幅広く用いられます。
薄曇りの中を舞う雪に様々な草花を描いたような意匠の舞妓さんらしいかわいらしい着物どすね。
菊唐草文は飛鳥時代に中国から伝来した唐草文が和様化されて植物の唐草文が出来たことから発生した文様で、菊花が皇室の紋章とされたことから格式ある唐草文様の代表となりました。
菊は和の文化と情緒を伝える格調高い花とされ、また季節感を表すものとして昔から好まれている文様どす。
季節の変わり目どすので、くれぐれもお体にはお気を付け下さいますようおたのもうします。
Posted by しげ森
at 12:00
2013年11月25日
十一月の舞妓衣装(ふく苗)
冬がもうそこまで近づいて来ました、みなさまいかがお過ごしどすか。
ふく苗さんの十一月の舞妓衣装は落ち着いた中に華やかさが引き立つ装いどす。
もみじのかんざしに流水ぼかしに様々な花が描かれた一つ綿の着物、牡丹唐草文の織帯が若い舞妓さんの愛らしさを引き出しています。
ぼかしとは着物の染めの手法の一つで、平安時代に生まれた古典的な染め方どす。
絵模様のようにはっきりとせず、やさしくやわらかな印象を持つぼかしは着物に華やかさをもたらしてくれます。
ぼかし方にも様々あり、柄のある着物の裾だけをぼかした「裾ぼかし」、縦方向の「縦ぼかし」、図柄の周りを薄くする「まきぼかし」など多用に表現されます。
牡丹唐草文は牡丹と唐草を組み合わせた文様どす。
牡丹はその華麗な姿から花の王とされ、平安時代から貴族に愛されて様々な文様として用いられてきました。
室町時代までは牡丹の葉形を写生的に描いたものが多く、江戸時代以降に唐草に牡丹を添えた形がよく使われるようになったそうどす。
寒さに向かう季節となりました、お風邪など召されませぬようご自愛下さいませ。
Posted by しげ森
at 12:00
2013年11月22日
十一月の舞妓衣装(ふく兆)
行く秋の寂しさが身にしみる今日このごろ、みなさまいかがお過ごしどすか。
十一月のふく兆さんの舞妓衣装は淡い色の着物を黒い帯で引き締めたすっきりとした装いどす。
紅葉のかんざしに菊や楓、松、笹、牡丹など様々な草花が散らされた一つ綿の着物、蜀江文や亀甲花菱文が豪華に配された織帯が楚々とした雰囲気をかもしだしています。
紅葉は楓の葉が紅葉したもので、春の桜と並んで秋を代表する樹木どす。
京都でも最近少しずつ色付いてきて秋の深まりを感じさせてくれます。
紅葉は季節によって色を変え人々を楽しませることから、人を幸福にするともいわれているそうどす。
蜀江文は中国から伝来した蜀江錦の織り出されている文様で、八角形と四角形をつなぎその中にいろいろな文様が入ります。
亀甲花菱文は亀甲形を上下左右につないだ亀甲繋ぎに花菱を入れたもので、平安時代以来衣裳や調度の文様に多く見られます。
このたびふく兆さんは舞妓さんになって一年が経ち、今月から上紅を塗らさせてもらっています。
一年前のふく兆さん
かんざしに付いていた房も取れ、すっきりとお姉さんらしくなりました。
これからもふく兆さんをよろしくおたのもうします。
めっきり寒くなってまいりましたが、お体に気を付けてお過ごしくださいませ。
Posted by しげ森
at 18:52
2013年11月20日
お見世出し(小はる)
平成二十五年十一月十四、十五、十六日にお見世出しが行われ、小はるさんが正式に舞妓さんとしてデビューいたしました。
黒紋付の正装をした小はるさんは十四日のお昼頃お姉さんである小ふくさんと舞妓さんになる儀式を無事に済ませ、お茶屋さんにごあいさつにまわらせてもらいました。
夜になりますと小ふくさんに連れられて呼んでいただいたお客様に御披露目のごあいさつをさせていただきました。
無事にこの日を迎えることができ、小はるさんはもちろんしげ森の皆もたいへん喜んでいます。
どうぞみなさまこれからも小はるさんをよろしくおたのもうします。
Posted by しげ森
at 21:27
2013年11月09日
十一月の芸妓衣装(小ふく)
秋のあわれを思わせる今日この頃、みなさまいかがお過ごしどすか。
小ふくさんの十一月の芸妓衣装は雅な趣を感じさせる装いどす。
源氏香文の袷の着物に、松皮菱の内に織り込まれた丸文の織帯がしっとりとした落ち着きをかもしだしています。
源氏香文は平安時代の貴族が好んだ香合わせという遊びで香の名を当てる時に使う符号を文様化したもので、5本の棒線を組み合わせてあらわされます。
52種類あることから源氏物語54帖の最初の「桐壺」と最後の「夢の浮き橋」を除いた巻名が付けられ、そのために源氏香と呼ばれるようになったそうどす。
松皮菱は菱の変形の一つで松の木の表皮に似ていることからこの名がつきました。
平安後期から使われるようになり、この帯のように菱の中に別の文様などを入れて松皮菱を模様取りとして用いるようになったのは桃山時代からだそうどす。
現在でも古典的な趣を出す意匠として多くの人に愛好されています。
いよいよ冬が近付いてまいりました、ご自愛下さいませ。
2013年11月06日
十一月の見習い衣装(小はる)
朝夕冷え込む季節になりました。
小はるさんの十一月の見習い衣装は鮮やかな青が印象的な初々しい装いどす。
紅葉のかんざしに束ね熨斗の袷の着物、たくさんのまりが散らされた織帯が見世出しを控えた見習いさんの晴れやかさをかもしだしています。
紅葉は秋を代表する植物で昔から好まれてきました。
これからの時期紅葉狩りに行かれる方も多いのではないでしょうか。
紅葉を観賞する習慣は平安時代から始まったといわれ、京都にはたくさんの紅葉の名所があります。
熨斗とは元々蚫の皮を剥いで乾燥させたもののことで熨斗蚫と呼ばれ、これを束ねたものが束ね熨斗どす。
神事用の肴に用いられ、また細長い形を永続と延命に例えて慶事の進物に添えられました。
熨斗文はこの蚫熨斗を意匠化したもので細長い紙状を束ねた形どす。
吉祥文様として婚礼の振袖や小袖などによく使われています。
まりは美しい色糸で巻いた手まりや蹴鞠などがあり、華やかな文様として人気が高おす。
手まりは女児の玩具として描かれ、足で蹴り合う蹴鞠は平安貴族の嗜みとして王朝優美を表して文様とされました。
色鮮やかなまりがたくさん描かれた舞妓さんらしいかわいらしい帯どすね。
寒さに向かう折柄、風邪などひかぬようお気をつけくださいませ。
Posted by しげ森
at 19:57