2012年07月20日
七月の芸妓衣装(ふく紘)
夏の盛りに木陰の恋しい季節となりました。
ふく紘さんの七月の芸妓衣裳は白から藤色へのグラデーションが印象的な優しげな装いどす。
薄(すすき)の間を揚羽蝶が舞う呂の着物に、葦の水辺に帆掛け舟が浮かぶ夏の織り帯が涼やかさを演出しています。
薄は芒とも記し、古い呼び名では尾花とも言われます。
薄の種子は風にのって遠くまで飛ぶことから子孫繁栄の吉祥文とされ、古くから愛用されてきました。
昔から薄の穂のように先がささくれだっているものには神が依ると言われ、同じ稲科の萱(かや)類が真草(まぐさ)と呼ばれるのも神を招(まぐ)く草という意味からきているそうどす。
そのことからさ迷える魂を天上に舞って届けると言われる蝶が薄とともに文様として描かれることが多おす。
揚羽蝶文は緑黄地に黒い筋や斑文のある大型の華麗な蝶を文様化したもので、鳳蝶(ほうちょう)とも呼ばれます。
鎌倉時代には羽を立てて止まる揚羽蝶が凛々しさを感じさせることから武士に好まれ、武具の装飾として使われるようになりました。
薄の間を一羽の揚羽蝶がひっそりと舞う様子がなんとなくもの悲しく情緒深おすね。
海に囲まれ川が多い日本では舟は重要な交通手段であり、また日々の生活に欠かせないものでした。
そのため帆掛け舟や宝船、南蛮船など様々な舟が文様として表されています。
黒地に金糸で描がれた舟が涼しげで夏の暑さを忘れさせてくれるようどすね。
本格的な夏を迎えました、みなさまのご健康をお祈りいたしております。
Posted by しげ森
at 20:38
│ふく紘