六月の舞妓衣装(小ふく)

しげ森

2012年06月15日 19:27










京の空にも梅雨がやってまいりました。

小ふくさんの六月の舞妓衣装は優しげな印象の少し大人っぽい装いどす。

アジサイのかんざしに無双(むそう)の着物、花菱文様の帯が華やかさの中にお姉さんの舞妓さんらしい落ち着きを感じさせます。

今月は衣替えどすので小物類もすべて夏物に変わりました。

アジサイは万葉集からその名がみられる日本原産の花どす。

江戸時代にオランダ商館の医師として長崎に滞在したシーボルトはこの花に魅せられ、日本での妻だった『お滝さん』にちなんで『ハイドランジァ・オタクサ』と名付けてヨーロッパに紹介しました。

そのため今でも長崎ではアジサイのことをオタクサと呼ぶそうどす。

無双(むそう)の着物は色、柄の違う二枚の薄手の紗(しゃ)を重ねて仕立てられた贅沢な着物どす。

下の生地は白地に模様が入っており、上の生地は濃い目の無地の紗(しゃ)が合わせられて下の柄が透けて見えるように工夫されています。

小ふくさんが着ている薄桃色の紗(しゃ)の下から見えているのは、流水に籠と葦が配された意匠で、梅雨空を忘れさせてくれるような涼やかさを演出しています。

美しい透け感が見る人を楽しませてくれる無双のお着物どすが、二枚重ねなこともあり、着ると実はけっこう暑おす。

花菱文は菱形の中に四弁の唐花を入れた文様で「唐花菱文」の略称どす。

文様としては古くからあり、正倉院の宝物にすでにその姿が多く見られます。

うっとうしい毎日ですが皆さまどうかくれぐれもご自愛ください。

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