九月の舞妓衣装(ふく兆)

しげ森

2013年09月28日 18:00







風の中に秋を感じるようになってきました。

ふく兆さんの九月の舞妓衣装は可憐で華やかな舞妓さんらしい装いどす。

桔梗のかんざしに片輪車文に秋草文様があしらわれた単衣の着物、大きな片輪車文が鮮やかに描かれた絽の染帯が少女らしさを引き立てています。

桔梗は秋の七草の一つで、古来から歌に詠まれ文様として愛好されてきました。

桔梗紫と呼ばれるほどその色が美しいため夏の訪問着や小紋、帯などによく用いられ、家紋としても使われています。

秋の七草といえば萩、薄、撫子、女郎花、桔梗、藤袴、葛のことどすが、これは万葉集にある山上憶良の詠んだ「萩の花、尾花葛花なでしこの花、女郎花、また藤袴あさがおの花」という歌がもとになっているといわれています。

尾花とは薄のこと、あさがおとは桔梗のことどす。

小ぶりな花が多いため一つ一つの草花よりも数種類組み合わせて表されることが多く、涼しい秋を待ちわびて夏や単衣の着物に用いられる文様どす。

片輪文は御所車の車輪が乾燥して割れないように流水に浸した情景を文様化したもので、車輪だけでなく草花を添えて描かれることも多おす。

リズミカルな水の動きと面白い車輪の形が様々に意匠化されてきました。

ひわ色に大きく描かれた片輪車があでやかで目をひく帯となっていますね。

皆様の秋が実り多きものとなりますよう、お祈り申し上げます。