2013年10月28日
十月の舞妓衣装(ふく苗)
秋風が冷たく感じるようになってきた今日この頃、いかがお過ごしどすか。
ふく苗さんの十月の舞妓衣装はさわやかな印象のお姉さんらしい装いどす。
菊のかんざしに揚羽蝶が舞い飛ぶ袷の着物、笹紋と花菱亀甲文があしらわれた染帯が華やかな中に落ち着きを感じさせます。
菊は秋を表す植物で、文様としては様々に意匠化され、日本国旅券や皇室の紋に使われるなど国民的な文様どす。
奈良時代に中国から薬草として伝わり、その美しさからのちに観賞の対象となりました。
揚羽蝶はその可憐な姿が多くの人に愛され、文様としても様々に使われてきました。
華やかさだけでなく、卵から青虫、毛虫となり、蛹から美しい蝶へと大きく変化するその様が呪術的神秘性を感じさせてより人々を惹き付け、不老不死のシンボルとして武士にも好まれました。
笹文と亀甲文はともに吉祥文であり、おめでたいときによく使われます。
笹は冬でも鮮やかな緑の葉を繁らせ、雪解けを待ってしなやかに成長することから強靭な精神にたとえられ、尊ばれてきました。
亀甲文は亀の甲羅に似ていることから長寿の象徴として好まれ、亀甲文を入れ子にした子持ち亀甲や花菱と組み合わせた花菱亀甲など様々なバリエーションが生まれました。
ちなみに亀甲文は西洋では蜂の巣文と呼ばれるそうどす。
過ごしやすい季節になりましたが、無理をなさらぬようお気を付け下さいませ。
Posted by しげ森
at 22:21