2012年05月20日
五月の芸妓衣装(ふく紘)



新茶の美味しい季節となりました。
ふく紘さんの五月の芸妓衣裳は五月の風を感じさせる柔らかな印象の装いどす。
流水文に四季草花文様の着物、扇流しの帯がふく紘さんの優しい雰囲気を引き出しています。
流水文は水の流れる様子を文様化したもので、古くは弥生時代の土器や銅鐸に見られ、長く人びとに愛用されている文様どす。
風景や草花などを組み合わせて描かれることが多く、流水に四季の草花を添えて生命の息吹を感じさせ、扇面を流して末広の幸を願うなど多様に表現されます。
淡い若葉色のお着物に深紫の帯がすっきりと清々しく、若い芸妓さんらしい晴れやかな装いどすね。
これから暑い季節が参ります。
皆様どうぞお体ご自愛くださいませ。
2012年05月17日
五月の舞妓衣装(小ふく)


若葉がかおる頃となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
小ふくさんの五月の舞妓衣裳は艶やかな紫と目に鮮やかな鶸(ひわ)色との対比が印象的な大人っぽい装いどす。
すっきりしたアヤメのかんざしに、扇骨に葵や桔梗などさまざまな草花がまとめられた花扇の着物、朱色で描かれた蝶々があでやかに舞い飛ぶ染帯が、若さの中に凛とした女性らしさを引き出しています。
アヤメはこの時期に紫や白い花を咲かせる初夏を代表する花どす。
「いずれあやめかかきつばた」というのは優劣がつけられないほど美しい様子を表した言葉ですが、それほどアヤメ科の植物は見分けがつきにくく、乾いた場所を好むのがアヤメ、水辺の湿地に育つのがかきつばたと言われます。
開いた扇の形は発展や繁栄の吉兆を表す図形として人びとに好まれているものどす。
今回のお着物には地紙ではなく草花を直接描くことにより、落ち着いた色合いの中に舞妓さんらしい華やかさが演出されています。
小ふくさんは舞妓さんとなって四年目。
紫地のお姉さんらしいお着物がよう似おうたはりますね。
梅雨のはしりのように気まぐれな空の下、皆様十分お体にお気をつけください。
2012年05月16日
五月の舞妓衣装(ふく苗)


風薫る五月となりました、皆様いかがお過ごしでしょうか。
ふく苗さんの五月の舞妓衣裳は初夏を感じさせる爽やかな装いどす。
かわいらしい藤のかんざしに、たくさんの蝶々が舞い飛ぶ鶸色の着物、笹紋と花菱亀甲をあしらった緋色の染帯が舞妓さんの若々しい印象を醸し出しています。
白や薄紫色の花が房になって咲く藤は初夏を知らせる花で、古くは万葉集の時代から親しまれてきました。
ふく苗さんが差しているかんざしはふく紘さんが舞妓さんの時に使っていたかんざしを譲り受けたものどす。
お衣裳だけでなくかんざしなども下の舞妓さんたちに大事に受け継がれていきます。
蝶文は何度かご紹介させていただいている通り、卵から幼虫、さなぎ、成虫へと変化するその姿が再生と不死不滅の象徴として昔から好まれている紋様どす。
笹紋、亀甲紋はともに長寿の象徴の吉祥文として多く用いられてきました。
明るい鶸色の着物にきりりと締まる緋色の帯がふく苗さんの元気なイメージにぴったりどすね。
季節の変わり目、不安定なお天気が続いていますが皆様お体には十分お気をつけください。
Posted by しげ森
at 18:44